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はじめに
以前の記事でIRFを構成するSWの一つが故障したときの
対応方法および注意点についてご紹介いたしました。
ちょっとした順番のミスで復旧どころか被害が拡大することがあります。
今回はその注意点についてもう少し詳しくお伝えします。
まずは前回ご紹介した基本的な対応方法を理解した上で
この記事を読んでいただけると理解が深まると思います。
・IRFの基本について
・IRFを構成しているSWが故障したときの復旧手順
故障対応の注意点
◆IRFの構成

physical-sw1とphysical-sw2の2台でIRFを構成しています。
IRFのホスト名はlogical-swとなっています。
Priorityの値が大きいphysical-sw1がMasterになっています。
◆コンフィグの保存状態

IRFが構成された状態でsaveコマンドを実行しておけば、
コンフィグをそれぞれのSWが保存しておきます。
1つのSWが故障しても別のSWが稼動していれば、
交換用のSWを組み込んだときにそのコンフィグを反映させることができます。
その結果完全なIRFを再現することができます。
◆MasterのSWが故障したと仮定

Masterとして稼動しているphysical-sw1が故障したと仮定します。
IRFであるlogical-swはphysical-sw2のみで稼動しつづけます。
physical-sw2しかいないため、自身をMasterへ昇格させます。
◆故障したphysical-sw1の交換用のSWを準備する

・IRFを構成しているSWが故障したときの復旧手順で説明した通り、
交換用の筐体に設定する情報はIRFに参加させるための最小のもので復旧対応が可能です。
Member IDとPriorityの値およびIRFで使うI/Fを設定し、
IRFポート間をつなぐだけでIRFに参加することができます。
descriptionは入れなくてもIRFを稼動させることができますが、
保守性を考えると入れておいた方が良いでしょう。
ここから先は交換用の筐体が準備できたあとで、現地作業を行う場面を想定しています。
作業の順番に気をつけてください。
そして順番を間違えるとどのような影響があるのかを理解しましょう。
◆故障した筐体を外して、交換用のSWを設置

◆誤った手順をしてしまうと。。。

本来は交換用の筐体の電源を入れる前にIRFポート間を
ケーブルで接続させておかなければいけまんせん。
◆それぞれのSWが別々のIRFを構成して稼動してしまう

◆別々のIRFを構成した状態でIRFポート間を接続する

それぞれのSWが各々でIRFを構成しているので、
ここからSW間でネゴシエーションが始まります。
◆Priorityの値が大きい方がMasterになる

本来は交換用のSWであるphysical-sw1は既存のIRFに帰属させるので、
Masterになるかどうかというネゴシエーションは不要です。
但し既に別々にIRFを構成してしまっているので、
一つになるときにどちらがリーダー(Master)になるのかを決める必要が出てしまっています。
◆physical-sw1がMasterになってしまう

physical-sw1とphysical-sw2で話し合いが行われ、
Priorityの値が大きいphysical-sw1がMasterになりました。
◆Masterの持つコンフィグがIRFを構成する

Masterとなったphysical-sw1のコンフィグをphysical-sw2へコピーします
◆physical-sw1が持っているコンフィグは、、、。

上記で説明した通り既存のIRFへ参加するときに必要な項目のみしか設定していません。
使用するポートの設定、VLAN設定など何も入っていません。
◆physical-sw2に入っていた設定が上書きされる

今までphysical-sw2経由で行われていた通信まで影響が出てしまいます。
Priorityの値が大きな方のSWがMasterになり、
そのコンフィグが適用されたのでSWとしては正常な動作です。
◆スカスカなコンフィグでIRFが構成されてしまう

本来の順番は、、、。
◆本来は、、、。

本来はphysical-sw1の電源を入れる前にIRFポート間をケーブルで接続する必要があります。
◆IRFポート間をケーブルで繋いでから電源を入れる

◆physical-sw1は既存のIRFへ参加する

physical-sw1は起動時に既にIRFで稼動しているphysical-sw2を発見したので、
自身のPriorityの値が大きいにも関わらず、Masterにはならずに
既存のIRFにStandbyとして参加します。
最後に
仮にStandby側のSWが故障した場合に、交換用のSWの電源を入れてからIRFポート間を繋いだとしても結果的にはIRFの状態を復旧させることはできます。
但し適切に復旧させるためには必ずIRFポート間を繋いでから、
交換用の筐体の電源を投入する手順で統一しておくことをお奨めします。